■関東別院建設の現状2 Vol.2
西山浄土宗々議会議員
都市開教委員会 委員
栗 田 利 竜
寺院賦課金は35%アップします。
8月26日、関東別院の仮本堂(庫裏)の上棟式が挙行されました。11月には完工します。先に建設計画の問題点をご報告致しましたが、この計画がスタートした時からの経緯を見ますと、まず、計画は「首都圏並びに都市開教委員会」という組織で、東部の発願メンバーが座長となり、委員の改選もなく、諮問機関もなく、情報を公開することもなく、限られたメンバーで全てが計画されたようです。
宗門の決議機関である議会に対しても協議題という形で事後承諾を求めるだけで、4億5千万と言う法然上人八百年御遠忌の浄財を使いました。勿論、それを認めた議会にも責任の一端はありますが、何より独断専行し、組織と事業をすすめた二代に亘る内局と委員会の判断が疑問視されます。
既成教団で11位という弱小教団でしかない西山浄土宗が、一桁以上大きな本願寺派でも20年掛けて展開が見えず、同じく横浜別院でも同じ年月を掛けて成果の見えてこない関東開教という至難の大事業に、いとも簡単に大金を投じてしまったのです。
このような大事業には、周到な市場調査、実行計画と資金の準備、人員の確保と養成が最低限必要で不可欠な要素ですが、東京別院の場合を見ますと新規事業展開に当然必要な準備もなく形だけのハコモノをやみくもに建築しようとしていた事が、各地の教学講習会で計画内容が垣間見られた事から、今まで全く実態を知らされて居なかった末刹寺院の間に不安と不審感が広まっています。私が出した先の報告書に対しても、是非第二号をと言うご要望や質問が来ます。
納骨堂の儲けを業者と折半し、その金で本堂を建てようという計画は、2月の議会で取り上げ、緊急の議員提案を以って中止を決めたのですが、総長も委員長も、議会に諮ったのはどの業者を選択するかを問うただけで、事業はすでに委員会で決定している事項であり、議会はお節介な事で議決など無効だと5月の委員会でも発言して居ました。これは基本認識が欠如しています。なぜなら我が宗では、委員会は宗務総長の諮問機関であって、議会の上部組織ではありません。
そしてその実態は、開教などには全くの素人である「コンサルタント」に計画を丸投げし、2月議会での納骨堂事業廃止決定の後も、二重払いのコンサル料を払い続けて居ました。これは5月の委員会で改めて納骨堂計画の分のコンサル料をストップさせましたが、これは明らかに議会無視の暴挙ですし、能力に欠けるだけでなく、背景が不明朗な「コンサルタント」は一日も早く契約解除しなければならないとの声があちこちで高まっています。
現地ではすでに着手してしまった仮本堂(庫裏)が11月に完成します。3千坪の敷地にフェンスを巡らせ、赤土肌の斜面の中心にポツンと一つ建物が建つ訳です。今後の計画は何一つ目途が立って居りませんし、今まで議論された経緯も新しく委員と成った私達にすら開示されて居りません。教学部長も公式の場で遠忌事業は箱物の建設ありきで進められて居ると表明しています。
以上の経緯から鑑みて、開教委員長は、現時点で早急に総括し、今後の進め方を議会に出席して説明するとともに、結果を全末寺に『西山』誌上で説明し、全ての質問に答える責任があります。議会を無視する組織を宗門内に置くことはできないからです。
さて、ここで明確にさせておきたいことがあります。今年2月の通常宗会で内局から提出され、議会が否決した議案に「第4駐車場からの境内侵入道路計画」があります。議会に諮らず、総長が独断で進めた計画の測量費は、総長の個人負担となりました。これを踏まえますと、東京別院への支出は、議会が認めた特別賦課金からの4億5千万円以外にはありません。仮に開教推進委員会が議会に事前に諮らずに支出を行っていたら、それは委員会の全額負担です。
行くも帰るも抜き差しならない状態に立ち至った訳ですが、仮に計画を塩漬けしようにも、維持の経費は掛かります。金銭的にはそれが一番安上がりに見えますが、留守番や草刈りなどの無駄な経費を末代掛け続ける事に成ります。たとえば、宗教法人ならば当然認められている固定資産税免除などの税法上の優遇措置を受ける事も出来ません、それだけで毎年数百万円を要します。また、損切りして撤退はありえません。あるとすれば転進のみですが、転進するには浄財を寄せて頂いた檀信徒に説明をしなければなりません。まさに「勧進帳」を読む場面です。
言うまでもなく、この事態において開教委員会メンバーの責任放棄は許されませんが、じつは今まで20年間、横浜別院は人件費等を本山が負担して居り、単独で実質黒字を出した事は有りませんでした。今度は規模も大きく、独立会計で収支を考えないと、宗門も本年度から実質赤字で、東京の分は支えられないのです。ここにその費用を推計し、今後開教事業が幾らくらいの負担と成るのか試算してみましょう。
まず、開設に際し最低限の造園と内部の荘厳、設備備品等の整備が必要です。
造園 10、000、000円(現在は赤土がむき出しのまま)
荘厳及び設備・家具 20,000,000円(とりあえずです)
計 30,000,000円(本山会計自体が赤字に転落して居り、ます。)
【収入の部】
布施収入(横浜の実績) 10,900,000円
【支出の部】
人件費(貫首、執事、職員若干名、福利厚生費を含む)
30、000、000円
(実質的給料は、20,000,000円ですが、健康保険をはじめとする各種の保険料を含めますと5割増しになります)
経常経費(営繕、光熱、交通、交際・・・)
15,000,000円
差額34、100、000円を、開教委員長或いは貫主となる方に工面していただかないとなりません。平成20年度の一般会計へ開教委員会から予算請求はされていませんし、御遠忌事業の予算にも含まれていません。もしや仮にこの金額を全額末寺が負担するとなると、
寺院数599で割ると 56,928円
今納めている宗費 98,390,000が132,490,000円。になりますから、
一口あたりに直すと457.5円。34.66%のアップで1,408円となります。
(74,540口)
議会が宗費値上げを否決した理由は、
1. 諸物価が高騰する社会情勢下で国民全般の生活が苦しくなっている。
2. 既に御遠忌に向けて檀信徒にも教師にも特別賦課金をお願いしている、
この状況で、更なる宗費の値上げを求めるのは人間としての常識を疑われるからです。
従って、御遠忌事業として承認された土地建物取得に要する4億5千万円以上に、議会が宗門の末寺に35%もの宗費値上げを求める決議をするとは考えられません。末寺が宗門と檀信徒の板ばさみになって動きが取れなくなります。あくまでも、二代の宗務総長と開教委員会が自己の責任において負担すべきことです。
さて、ここまでの経緯をさかのぼって見ますと、800年御遠忌の金がある、購入できる土地がある、さあ、20年来の悲願である関東開教にことよせ、もう一つ檀林を作れる・・・と言うことではないかと、今更ながらに思われるのです。関東開教は大きなテーマですが、檀林を増やすことなど末寺にしてみれば負担増以外に何のメリットもありません。
何よりいけないのは、末寺に開教のプログラムを示さず、800年遠忌の記念事業として完結するかのように事を進めて来たことです。檀末は800年遠忌の賦課金を払う事に苦吟しています。まさかその賦課金が、永劫続く経費負担のタネになろうとは思っても居りません。
新しく選ばれる内局は至急実情を開披して、800年遠忌事業への協力を訴え直さないと、あとで反発を招き、実情が知られた時点で宗門の死命に関わる大事件となること必至です。議会へも末寺へも情報公開がなかった以上、一度全末寺へアンケート用紙を配り、このような東京別院が宗門に必要か不要かの判断を仰ぐくらいの時点に立ち戻ることが必要です。
実は今まで、横浜別院の人件費と東京別院建設の事務費等の支出が一般会計を圧迫しており、日下内局による宗費150円アップ提案の内因と成って居たのですが、開教委員会の中では横浜別院テコ入れや開教推進の作戦を練る前に、「入山する貫主は紅梅の僧正に限る」とか、「貫首は委員会の推薦で選出し管長(つまり宗務総長)がこれを認承する」として議会の審議や干渉をさせないようにするとか、光明寺別院であって宗門は金を出しても口は出せ無い・・など障壁を設けては他者の介入とチェックを防げる作業ばかりして来ました。ですから、自ら教学講習会で説明を始めるまで、宗門内でも実情が表に顕れなかったのです。
関東で集めると説明されて来た5億円が、1億しか集まらず、本堂始め諸堂の建築に目途が付いていないことなど自分達の責任に関する事は話題にもなっていません。
これでは、“自分達の私物化を目的に、内緒で事を進めている・・”と指摘されても、それに答えるすべは有りません。
開教委員会メンバーは不思議なことに職宛で入る議員以外は任期の定めがありません。当初より変わらないのが自慢で有るとは教学部長の説明ですが、宗門の規則では誠に異例で、外に例を見ません。委員選出の基準も手順も明記されていなくて、委員会首脳のご指名と結果報告で決まるようです。これが皮肉な事に、合議制で責任者の居ない事例の多い中で、珍しく責任者がはっきりした仕組みに成っています。
結論を申しますと、情報も身分も外部の干渉を受ける必要のない委員会を主導するメンバーが、自分達で責任を全うしなければ成らないと言う事です。それが唯一不幸の中の幸いという事態です。順序は逆ですが、開教委員会は別院を今後どうして運営して行くのか、遅まきながら自分達で議論を急がなければなりません。その結果を末寺、檀信徒に提案し、それが受け入れなければ・・・責任の行方は申す迄もありません。
0 件のコメント:
コメントを投稿